2016/08/12 22:29山岸さまより送付のあったメール

菊池さま 

 

山岸です。 

 

昭和34年から一高が優位になった経緯については当時の宇野一高校長(一高出身者ではなく、関東出身です)の回顧録があります。

 

/* 『続 戦後の宮城教育を語る』宇野量介、仙台宝文堂、昭和45年9月1日発行、定価450円 */ 

 

後生可畏  

自ら顧みて三十年の七月はじめ、一高校長に任命されてからの二、三年は、一高校長としては不満足というより不十分な校長でしかなかった。

何にしても前任者が立派すぎた。立派すぎた校長の後をついで、見劣りすることは何としてもかくせない事実である。

着任早々に事故が起きたりして、俗な言い方をすれば、出鼻を挫かれた観、大鉄槌を頭上にくらって、ウロウロしたということは隠せない。  

前校長の遺緒をつぐという名目で、実は手も足も出なかった、我ながら不甲斐ない状態だったと思う。

そのせいか、あらぬか、先生方の間から、前校長は朝会っても、校長の方から「おはよう」とあいさつしたのに、今度の校長はそれもしない、頭が高い、というような陰口が自然と聞えて来る。

水死事故の時も、海岸から戻った先生たちの中に、学校で酒を飲んだりして、鬱さばらしをやっていた、などと告口をする者もあった。

こんな事では、困ったと思っていると、果して、翌年からの大学合格者は思った程に伸びない。

そして、スポーツの方面でも伸びが悪い。

何かというと、建築の雑音が耳に入って、おちおち勉強ができないというような、妙な理屈づけがはやった。

なるほど、建築の着工は、お役所流のいたすところで、年度始めになってから、設計をはじめて、秋になって請負がきまる。

着工は十月すぎ、コンクリート打ちは寒中となると、その結果は屋上の雨もりがあったり、学校の肝心の油の乗り切る頃が工事の最中ということになる。

それが妙な理屈の種になるというのでは、放置しておけない。  

県の建築課に話して、南校舎の設計は一度にきめてもらいたい。

そして継続工事の見通しがついたら、年度当初早々に工事にかかってもらいたい、と注文をつけた。

第五期工事、今の図書館の半分、生物準備室、化学実験室の部分は、秋には出来上がった。

内部工事の完成したのは、三十三年の春だった。  

そして、県の都合で、六期工事は一年休むことになったので、三十三年度は校内は、建築の雑音はやんだ。

この機逸すべからず。

生徒の進学について、一段指導を強化することにした。みんなが東北大の入学者で情勢を占うというのなら、東北大学の入学率がよくなるよう、校長も一役買おうということにして、時間を割いて、卒業予定者一人のこらず、校長室で一対一の面接もやって見よう。生徒の長所と短所とを指導して、校長としての所見を内申書に実際に書き入れることもやろう。

おれもやるぞ、先生たちもたのむぞ、今まで生徒の素質の良いのにかまけて、熱の入れ方が足りなかったんじゃないか。

冬休も正月も返上しようと、生徒と取組んだ。  

その結果は、生徒の意気込み、眼玉の光がちがったように見えた。

予想通り。

百十人から百二十人程の合格者は、一躍して百七十三人にはね上った。

生徒ら自身がびっくりした。

妙な理屈をこねているより、頑張ればやれるではないか、運命は座して待つより、自ら進んで開拓すべきものということの実感が感得できた。

而も旧帝大の大学へ、一つの高校からの進学者数では、日比谷よりも、外のどこよりも好かった。

他の人々が驚いた。

一度こうなると、若者の元気は俄然高揚する。

その後、自信を以て、進路開拓ができたのだ。

この辺は、一高の教務係でまとめた統計表を見れば、瞭然たるものがある。 

 

/* ここまで */ 

 

読売の方では「一高は大量百七十四人が東北大へ合格」と書かれていましたが、『仙台一中、一高百年史』に173人と出ているので、「一躍して百七十三人にはね上った」の方が正しいです。

資料間でのこの程度の食い違いは結構あります。

『仙台二高八十年のあゆみ』にもありました。

 「みんなが東北大の入学者で情勢を占うというのなら」とありますが、昭和31〜33年と3年連続で二高に負けたので同窓会やその他からいろいろ責められたことがうかがわれます。

それで宇野校長や一高が本気になったというのが真相のようです。

今と違って首都圏勢が押し寄せてきていないので突如の大躍進はあり得ると思われます。

しょせんこの程度のことです。

 

昭和33年に二高が140人に躍進した時も次のようにしか書かれていません。 

 

/* ここから */

 

読売新聞宮城版 昭和33年3月28日 

 

浪人組がふえる−東北大学の合格者−仙二高からの進学が最高 

 

…県下各高校の進学状況をみると全体で合格者は五百二十九人、昨年より八十一人ふえ名門仙二高は百四十人でトップ、仙一高は百二十四人、仙二の受験者数は三百九十六人で、合格率は三十五%。

同校教務主任斎藤栄吉教諭は「特にこれといった指導方針はなく強いていえば生徒の教師への信頼を基にした完全授業をモットーとし、生徒の個性、実力に応じた進学指導を行なっているだけだ」と語っている。

 

 /* ここまで */ 

 

もともと生徒の能力が高かったためで、聞いても躍進の秘密などでてくるわけもないことです。 

 

次回に続きます。

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