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ラテン語・ギリシア語 文法解説
ラテン語→フランス語→英語、あるいはギリシア語→ラテン語→フランス語→英語という流れの中で、ギリシア語やラテン語を英語に転写する際に、本来の綴り字が変化します。
主な推移は次のとおりです。
ギ語 | ラ語 | 英語 | 例 |
K | C | C | katalogos→catalogos→catalog |
AI | AE | E | phainomenon→phaenomenon→phenomenon |
OI | OE | E | oikonomia→oeconomia→economy |
例にあるように、各語の文法に合わせて語尾も変わります。
以下、ラテン語の文法について触れます。
品詞は英語とほぼ同じです。
そのうち、名詞・形容詞・動詞・前置詞が重要です。
英語の代名詞は
he「主格(彼は)」 his「所有格(彼の)」 him「目的格(彼を)」のように変化します。
これを格変化といいます。(注)
ラテン語の場合、代名詞はもとより、普通の名詞や形容詞までもがこうした格変化をします。
<例>
①vita[ウィータ](=life)の変化
主格(バラは) | 所有格(バラの) | 目的格(バラを) |
VITa[ウィータ] | VITae[ウィータエ] | VITam[ウィータム] |
②rex[レークス](=king)の変化
主格(王は) | 所有格(王の) | 目的格(王を) |
REX[レークス] | REGis[レーギス] | REGem[レーゲム] |
上には3つの格変化を記しましたが、実際は、このほかに、呼格・与格・奪格という格変化があります。
大文字で記した部分を語幹といい、英語学習においては語幹の形を覚えることが肝要です。
主格と所有格の語幹の形が違っているものもあれば、同じものもあります。
①において、vitaはvitaminなどの語源となっており、②においてrexの語幹“REG”はregalなどの語源となっています。
名詞の形に合わせて名詞と同じ変化をします。
英語において“great king”は文中の位置によって「偉大な王は」「偉大な王を」のいずれの意味にもなります。
ラテン語の場合magnus[マグヌス](=great)を例にとれば
MAGNus REX[マグヌス レークス]・・・偉大な王は
MAGNi REGis[マグニー レーギス]・・・偉大な王の
MAGNum REGem[マグヌム レーゲム]・・・偉大な王を
というふうに修飾する名詞の形に合わせて変化します。
形容詞においても名詞と同様に語幹の形を覚えることが肝要です。magnusはmagnitudeなどの語源となっています。
英語の動詞が過去形・過去分詞・動名詞などと変化するようにラテン語の動詞も様々に変化します。英語学習においては原形と過去分詞の形を覚えることが肝要です。
<例>
①amare[アマーレ](=love)の変化
<原形> AMare
<過去分詞> AMATus[アマートゥス]
過去分詞の語幹“AMAT”の部分がamateurなどの語源になっています。
②facere[ファケレ](=make)の変化
<原形> FACere
<過去分詞> FACTus[ファクトゥス]
過去分詞の語幹“FACT”の部分がfactorなどの語源になっています。
文法上、英語と同様の働きをします。
AD[アドゥ](=to) SUB[スブ](=under)DE[デ](=of)などがあります。
これらは動詞と結びついて、英語の接頭辞となっており、さまざまな意味を構成します。
日本語では「送る」+「出す」→「送り出す」 「開く」+「直る」→「開き直る」
のように「動詞」+「動詞」という組み合わせで様々な動詞を作りますが、ラテン語では「前置詞」+「動詞」で様々な動詞を作ります。
このような動詞には以下のような特徴があります。
①前置詞の音便化
日本語で「活」(かつ)+「発」(はつ)→「活発」(かっぱつ)のように、「発音しやすく」変わることがあります。
同様にラテン語の前置詞も「発音しやすく」形が変わります。
ただ「発音しやすく」というのはあくまでラテン語話者にとってということであり、必ずしも日本人に当てはまるとは限りません。
<例>
SUB[スブ](=under)+PENDere[ペンデレ](=hang)
→SUSPENDere[ススペンデレ](=suspend)
前置詞SUBがPENDereのPに引っ張られてSUSと変化します。
②動詞の母音変化
日本語で「雨」(あめ)+「具」(ぐ)→「雨具」(あまぐ)のように、語がくっつくと母音が変わることがあります。
同様にラテン語でも「前置詞+動詞」となったときに、動詞部分の母音が変わることがあります。
<例>
前置詞ADと動詞FACereの過去分詞FACTusがくっついた場合
AD+FACTus→AFFECTus[アッフェクトゥス]
ADが音便によりAFと変化し、FACTusが母音変化によりFECTusと変わります。なおこの形はaffectなどの語源となっています。
上述①及び②において、音便による変化の仕方、母音変化の仕方は各語によって決まっています。
当座は煩雑な印象を受けますが、元の形の語をしっかりおさえれば、見分けるのに大きな支障はありません。
文法事項はラテン語にほぼ同じです。名詞・形容詞・動詞にラテン語のような変化があることも同じです。
英語学習において、名詞・形容詞については語幹の形を、動詞はラテン語の語幹に当たる「基本形」を覚えるのが肝要です。
<例>
HISTANAI[ヒスタナイ](=stand)の基本形は“TEM”
これが前置詞SYN[シュン](=with)と結びつくと、
SYN+TEM+A(名詞を表す語尾)→SYSTEMA [シュステマ]となります。
この語はsystemの語源です。
手始めに、よく使われる前置詞と動詞を5個ずつ覚えてみましょう。
<前置詞>
①AD[アド]: to 「〜へ」
admit, arrest, aggressive
②COM[コム]: with 「〜とともに」 (後にCUMという形に変化)
contract, company, collect
③de[デ]: away,from 「〜から」
deposit, devote, develop
④ex[エクス]: out 「外へ」
excel, evoke, effort
⑤sub[スブ]: under 「下へ」
submit, success, supply
こちらで説明したとおり、前置詞は後に来る音に従って音便化します。
<動詞>
①FACere[ファケレ] 過去分詞 FACTus[ファクトゥス]: make,do「作る」「為す」
factory「工場」: FACTus+ORY(名詞語尾) 「物が作られる所」
effect「効果」: EF+FECTus<EX(=out)+FACTus 「外へ向けてなされたこと」
sufficient「十分な」: SUF+FICere+ENT<SUB(=under)+FACere+ENT(形容詞語尾) 「下から支える→満足させる、満たす」
②DUCere[ドゥーケレ] 過去分詞 DUCTus[ドゥクトゥス]: draw 「引っ張る」
introduce「紹介する」: INTRO(=into)+DUCere 「中に引き込む」
introduction「紹介」: INTRO+DUCTus+ION(=名詞語尾)
③CAPere[カペレ] 過去分詞 CAPTus[カプトゥス]: catch 「とらえる」
capture「捕らえる」: CAPTus+URE(=名詞語尾)
reception「受け取り」: RE+CEPTus+ION<RE(=back)+CAPTus+ION(=名詞語尾) 「後に戻ってとらえる」
④TENere[テネーレ] 過去分詞 TENTus[テントゥス]: hold「つかまえる」
pertinent「適切な」: PER+TINere+ENT<PER(=completely)+TENere+ENT(=形容詞語尾) 「しっかりとつかまえる→きちんと当てはまる」
extent「範囲」: EX(=out)+TENTus+ENT 「外へ向けてとらえられたもの」
⑤VIDere[ウィデーレ] 過去分詞 VISus[ウィースス]: see「見る」
video「ビデオ」: VIDeo=ラテン語の「わたしは見る=I see」という形より
vision「視点」: VISus+ION(=名詞語尾)
provide「供給する」: PRO(=forward)+VIDere 「将来を見据え備える→備えの物を供する」
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教育コラム「雨か嵐か」
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