高校の制服 その1 2013/10/01

今日から衣替えで、今日から制服が冬服になったというところも多いでしょう。

ここで、県内の高校の制服事情を見てみると、制服のないところがいくつかあります。

これらの学校が制服をなくした直接の原因は、1970年代の学生運動です。

その当時は、ソビエト連邦という国が健在で、中華人民共和国は文化大革命の真っ最中でした。

またベトナム戦争にアメリカが首を突っ込むということもあり、学生運動が盛り上がる条件がそろっていました。

そうした社会情勢を反映して仙台に東北大学という運動の牙城があったため、東北大に倣う形で、それが全共闘という名で高校に飛び火しました。

その全共闘を有していたのが、ナンバースクールなどの進学校と言われるところに多かったため、そのようになったというわけです。

もっとも、全共闘運動の結果とは無関係な仙台向山高校や宮城野高校のようなところもあります。

これら2校は設立当初から制服はありませんでした。

分けても宮城野高校は非常に特徴的なカリキュラムで運営されています。

「大学に限りなく近い高校」といったような感じです。

(次回に続きます)

高校の制服 その2 2013/10/02

(前回の続きです)

我が出身高校も、制服はありませんでした。

ただ、さすがに体操着は全員同じものでした。

在学中は、頭を茶色にして、ロックミュージシャンのような恰好をしてくる人もいました。

が、大多数は普通の服装をしていて、特に大きな問題はありませんでした。

わたしは家の近くに、仙台二高や宮城一高といった学校があり、仕事で移動中に彼らを目にする機会がかなりあります。

彼らを見ていると、我々の時代よりはだいぶおしゃれになったなあと思います。

学校はそのように自由な校風でしたが、その代わりに、勉強はしっかりやらなければなりませんでした。

他の学校に行った友達の話を総合すると、やれ頭髪検査だ、服装検査だと、いろいろうるさく言われる中で、勉強のほうは、ずいぶんとゆるいなあと感じました。

ちなみに、先般、短期で教えた中3生の中に、宮城野高校志望の生徒さんがいました。

それでその志望動機というのが、「髪の毛を染めたいから」というものでした。

まあ、志望動機はどういうものでもいいと思いますが、そのように自由を満喫したければ、勉強はしっかりやっていかなければなりません。

その生徒さんにも、しっかりそこは伝えました。

スポーツ推薦について考える 2013/10/03

先日「体罰事件報道に思うこと」と題して書いたとき、数年前に教えた生徒さんのことを思い出しました。

その生徒さんのお兄さんは幼少のころから柔道の道場に通い、かなりの実力だったそうです。

その後、柔道のスポーツ推薦枠で特待生として東北高校に進学しました。

ところが、練習中に大きな怪我をしてしまい、柔道が続けられなくなってしまいました。

それがため、その方は柔道部を退部しました。特待生としての特典は打ち切られ、一般生徒と同じ扱いになりました。

生徒さんのお兄さんにとって、柔道がやれなくなった自分と向き合うことは非常につらかったことでしょう。

ご両親も精神的な落ち込みを大変心配していました。

それに加えて、ご両親が心配していたのは、今後のことです。

すなわち、これまで柔道一本槍で、勉強のほうはほとんどやってこない状態だったので、社会に出たときにどうなるのかということでした。

勉強をやってこなくても就ける職業はたくさんあります。

しかし若年層の就職状況を考えると、ご両親のご心配は無理からぬことです。

わたしの生徒さんの中に、スポーツを主とした進路を考えている人はいます。

ただそういう生徒さんであっても、ご両親は上述のようなリスクがあることをよくご存じです。

そしてでき得れば勉学のほうも社会に出て困らない程度にやってほしいとするご家庭がほとんどです。

スポーツ推薦を目指す生徒さんやご家庭は、様々なリスクを考え、進路を選択してください。

生徒さんからの質問 − 中国と中国語 その1 2013/10/04

以前、生徒さんからこのような質問を受けました。

いわく、学校の先生は、これから中国という国がますます大切になってくるので、中国語は大切な言葉になっていくという。

一方で、菊池は、中国という国とは距離を置いて付き合うほうが日本のためになるという。

どちらが正しいかわからないというものです。

そう言われて、「そう言えば、この生徒さんに聞かれて、そんなことを言ったことがあるなあ」と思い出しました。

ここで、わたしがなぜそう考えるに至ったかの説明は長くなるので省きます。

そこで、わたしはその生徒さんに次のように返答しました。

いわく、「どちらも正しいでしょう。『距離を置いて付き合う』ということと、『ますます大切になってくる』というのは、矛盾しないと思いますよ」と。

中国語は現在、中華人民共和国に住む人たちだけが使うものではありません。

世界各国に彼らは移民しており、それなりの力を持っています。

また、これだけヒト・モノ・カネが両国を行き来することを考えると、彼らと接する機会は多くはなっても、少なくはなりません。

そうした意味での中国語の重要性は、生徒さんの学校の先生がおっしゃる通りです。

義務教育以来学んだ英語と中国語は、全く違う言語ではありますが、文法が似ていたりして、英語を知っているのと知らないのとでは、上達の度合いが違います。

そのようなこともあり、生徒さんたちには、「いつ何時、未知の言語を学ばねばならない機会があるかもしれないから、英語をしっかり勉強していてください。」と指導しています。

(次回に続きます)

新聞報道より 大学入試改革:新共通テスト創設 段階別「点数グループ」 2013/10/07

今日は新聞報道による記事を取り上げます。

毎日新聞 平成25年10月4日記事より引用

>>>

政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が検討している大学入試改革の原案が2日、判明した。

現在の大学入試センター試験のように1点刻みをやめ、段階別の「点数グループ」で評価する新しい大学入試の共通テストを創設する。

また、高校生の学習到達度を在学中に確かめる新テストも作成。2種類の新テストはいずれも複数回受験できる。

日本の大学入試制度を抜本的に変える大改革になるが、導入年度は、高校生に混乱を与えないよう「十分な周知期間を置く」とし、現在の高校生は対象にせず、数年後をイメージしている。

10月中旬の会議で提示した上で、11月中にも提言をまとめる方針。

その後、文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」で、導入年度など具体策が議論される方向だ。

大学入試の新テストは、現行のセンター試験をベースに、「知識偏重」にならないよう、結果は段階別に大まかに示す。

受験生は複数回受けることができるようにする。

各大学はテスト結果から、受験生が教育についていける学力があるかどうかを判断する。

その上で面接、論文、社会活動の成果などを評価し、各大学の理念に合った学生を選抜する仕組みだ。

高校生の学習到達度をみる新テストは、高校生が身に着けるべき基礎的・共通的な目標を国が設定し、思考力や判断力を含めた幅広い学力の到達度を測る。

希望者が受けられるようにし、高校在学中に複数回受験できるように設計。高校の卒業認定や大学入学資格には使わない。

推薦やAO(アドミッション・オフィス)入試では、この新テストの結果を「基礎学力」の判定に活用できるとした。

「新大学入試」を設けるのは、受験生の基礎学力は国、才能を伸ばす教育は各大学という役割分担を明確にする狙いがある。

また、高校到達度テストだけでは大学の選抜機能維持も難しく、さらに到達度テストが「入試化」すると受験競争の早期化につながる恐れもあるためだ。

新テストの実施主体は、作問技術や試験運営の蓄積がある大学入試センターと小中学生対象に全国学力テストを実施している国立教育政策研究所が有力視されている。

(以上、引用終わり)

この情報だけでは詳細は分かりませんが、ここに書いてあるとおりに決まるとすれば、現場は混乱します。

現在行われているセンター試験は「国立大学の1次試験」+「私立大学も参加し、その結果を自由に使ってもらっていい」ということになっています。

「1点刻みの評価がいけない」ということになると、国立大学の試験は、実質2次試験で合否が決まるというふうに加速していきます。

そして「新試験」は「2次試験を受けるための資格試験」のようになります。

「1点刻みの評価にしない」ということであれば、ABCのようなものを使うのでしょうか?

ABCのようなものを使うとすれば、AとBとの境はやっぱり「1点刻み」になってしまうのではないでしょうか?

ここでひとつ希望があるとすれば、以前から問題になっていた理科・社会で科目間難易度の是正です。

例えば、物理が70点、化学が60点となった場合、今は素点がそのまま「当該受験生の点数」となります。

しかし平均点如何によっては、「物理70点=B評価 化学60点=A評価」ということもあり得ます。

また、「知識偏重がいけない」ということですが、これ以上「知識偏重」をせずに、どうするのでしょう?

大学生の基礎学力の低下が問題になっていて、授業が成り立たないと嘆いている大学が多いのに.....

いまのところ、謎だらけですが、まずは推移を見守りたいと思います。

新聞報道より 東北薬科大が医学部新設へ 定員100人、総合医養成 2013/10/08

医学部進学に関心のある方はご一読なさってください。

以前から動きのあった宮城県内における医学部設置が本格的に動き出したようです。

宮城県内の医学部は東北大学にしかありませんでしたが、私立の医学部がいよいよ胎動するというわけです。

医者の数は増やさないという方針(=日本医師会からの圧力。つまり既得権益を守ろうとすること)も、限界に来ています。

定員100名を巡っての椅子取りゲームがいずれ始まります。

今後、県内の教育産業は、いろいろと策を出してくるでしょう。

以下、記事の引用です。

河北新報 平成25年10月5日記事より引用

>>>

東北薬科大(仙台市青葉区)は4日までに、医学部新設を目指す方向で最終調整に入った。

旧東北厚生年金病院(宮城野区)を取得し、ことし4月に付属病院として開院させるなど準備を進めてきた。

近く正式に発表する。 

東北への医学部新設をめぐっては2011年、財団法人厚生会仙台厚生病院(青葉区)が地元大学との連携による医学部設置構想を発表。

東北薬科大の参入で、宮城県内から二つのグループが医学部設置に手を挙げることになる。

関係者によると、東北薬科大は医学部定員を100人程度と想定。

校舎を新設し、臨床実習は付属病院や連携病院の活用を見込む。

新設に必要とされる約230億円は自己資金で工面するとみられる。

東日本大震災を踏まえ災害医療に対応できる人材の育成を最重視し、急性期から慢性期まで対応可能な「総合医」の養成に取り組む。

医師の養成には、薬剤師育成のノウハウを活用する方針。

単科の東北薬科大は10年秋から医学部設置の準備に乗りだした。

震災を経て、学内に第三者を交えた医学部設置準備懇話会を設置。

11年末に最終報告書をまとめた。

厚生労働省所管の独立行政法人から東北厚生年金病院の土地建物を取得し、看護師らスタッフも引き継いだ。

東北薬科大病院(466床)は22診療科を備え、急性期対応型の総合医療を提供。薬学生の臨床実習にも活用している。


[東北薬科大]

1933年創設の東北・北海道初の薬学教育機関「東北薬学専門学校」を母体に49年開設。

6年制の薬学科と4年制の生命薬学学科に、院生を含め2139人(5月1日現在)が在籍する。

キャンパスは仙台市青葉区小松島、付属病院は宮城野区福室にある。

(以上、引用終わり)

生徒さんからの質問 − 中国と中国語 その2 2013/10/09

前回10月4日付コラムの続きです)

ちなみに、わたしも思い立つことがあって、昨年から中国語を学んでいます。

学ぶに至った理由は、趣味の世界で、中国語に接する機会が非常に多いことがまず挙げられます。

我が国から近いことと、使用人数が多いこともあり、彼らの言語を知っているのと、そうでないのとでは、「深み」が違ってきてしまうのです。

それから、わたしの言語に対する考え方を深めたいという願望があったためです。

これまでいくつかの言語を学習してきた中で、中国語はいろいろな意味で、一度は学んでおきたい言葉の一つでした。

時間が厳しい中で、外国語を学習するのは正直申し上げて、大変です。

しかし、喜びもあります。

わたしは英語を教える際に、「ほかの外国語ではこういう言い方をする」という具合に説明したりすることがたびたびあります。

その際、中国語の話題は生徒さんにウケがいいようで、指導が活気づきます。

現在、中国語の知識は大したものではありませんが、特に、外国語をどう翻訳しているのかということや、「浜崎あゆみ」などという名前をどのように漢字に変換し、それがどのように発音されるのか(ちなみに彼女は中国語で「浜崎歩」と表し、「ピンチー・プー」と発音されます)を伝えると、非常に興味を示してくれます。

生徒さんには、「おもしろくて、ためになる指導」が成績を上げる一番の妙薬のようです。

生徒さんからの質問 「バブル経済」について その1 2013/10/10

しばらく前に、生徒さんとこういう会話がありました。

[生徒さん]ところで、先生は何歳なのですか?

[菊池]まあ、あんまり答えなくないのですが、〇〇歳ですよ。

[生徒さん]ということは、先生は、バブル景気と呼ばれているときは、生きていたわけですね。

[菊池]はい、そうですよ。生きてました。(笑いながら)

[生徒さん]では、バブル景気というものが、どういうものだったのか、教えてもらえませんか? 「景気がいい」というのはどういうことなのか、いまひとつ、ピンと来ないんです。

生徒さんのこうした質問を聞いて、思わず、「う〜ん」と唸ってしまいました。

「そうか、今の生徒さんの世代は『景気がいい』って、どういうことだか、分からないんだもんな〜」としみじみと感じました。

わたしは、バブル景気と呼ばれたときは、大学生でした。

それゆえ、あのころの狂乱ぶりはよく分かっています。

今に比べると、何もかもが夢のようでした。

企業はどこもかしこも、儲かって仕方がない。

就職口はいくらでもあり、企業からのアプローチを断るのが大変でした。

なにしろ、どこからどう調べてくるのか、セミナーと称する企業からの案内が、毎日のようにポストにいっぱいになったものです。

そのようなことを話しても、生徒さんは目を回すばかりです。

(次回に続きます)

生徒さんからの質問 「バブル経済」について その2 2013/10/11

(前回の続きです)

考えてみると、今の世代の生徒さんは、「ゆとり世代だ」「世の中、不景気で仕方がない」「就職難」と言われ続けて育った世代です。

言うほうの我々は何気なく言っていますが、言われているほうは身にこたえます。

学習においてもそうで、点数が取れないと志気が落ちます。

それゆえ必要以上に委縮してしまっているような印象を受けます。

また「景気がいい話題に飢えているのだなあ」とも感じます。

このところの大人がそうなのですから、今の若年層はなおさらのことです。

そうはいっても、大人が若い人たちをくさすのは、繰り言みたいなもので、我々とて、やれ新人類だ、共通一次世代だといわれ続けました。

ただ、あの頃と今と大きく違うところは、「明日は今より、給料が上がって、きっとよくなる」というような雰囲気がまだ残っていたことです。

東京五輪決定がよい契機となり、今の生徒さんの世代が特に夢が持てるようになればと願う次第です。

文語調の歌に親しむ 〜 「千曲川」 2013/10/15

今日は、歌謡曲「千曲川」を取り上げます。

「文語調」と銘打ってありますが、実際の歌詞は文語と口語が混在しています。

こうした混在は現代によく見られ、歌謡曲にも多くあります。

以下、動画にてどうぞ。

→動画が表示されない場合は、こちらから

<歌詞>

1.水の流れに 花びらを
  そっと浮かべて 泣いたひと
  忘れな草にかえらぬ恋を
  想い出させる 信濃の旅よ

2.明日はいずこか 浮き雲に
  煙りたなびく 浅間山
  呼べどはるかに 都は遠く
  秋の風立つ すすきの径よ

3.一人たどれば 草笛の
  音いろ哀しき 千曲川
  よせるさざ波 くれゆく岸に
  里の灯ともる 信濃の旅路よ

ここで文法の解説です。

(1)「呼べどはるかに」の「呼べ」は文語における已然形になっています。

(2)「音いろ哀しき」の「哀しき」の部分は形容詞「哀し」の連体形です。

今の季節にふさわしい歌です。

七五調の歌詞であり、最後のフレーズが長歌の形式に従って、七七で終わっています。

音楽も、歌詞も耳に心地よく、文法の解説というもの自体が無粋に感じられてしまいます。

五木ひろしさんの名曲を存分にお楽しみください。

いわゆる「ゆとり教育」について その1 2013/10/16

数年前から、さすがの文科省も重い腰を上げ、「脱ゆとり教育」が始動しました。

教科書を見ても、以前に比べると、格段に濃い内容になっているのがわかります。

慶賀すべきことです。

小学校・中学校の教科書を見ると、特に数学(算数)・英語でその傾向が顕著です。

応用的なものがかなり掲載してあります。

演習問題や英文の和訳・単語の訳などが解説してある教科書ガイドがあれば、良質な問題集も兼ねています。

これと市販されている自習用の問題集を使えば、受験対策は必要にして十分です。

高額教材はいりません。

教科書がこのようになったのは、執筆の基準が変わったからです。

これまでは、「教科書に載せてもいいもの」というものでした。

つまり発展的な事項など、それ以外のことを扱うのは罷りならんということでした。

それが、「教科書に最低限載せなくてはならないもの」になったのです。

つまり「教科書にこれさえ載せれば、あとは原則発展的内容をいくら扱っても可」となったというわけです。

(次回に続きます)

いわゆる「ゆとり教育」について その2 2013/10/17

(前回の続きです)

脱ゆとりの見直しのきっかけとなったのが児童・生徒の学力低下です。

学力低下というのは、要するに基礎的な読み・書き・そろばんの力が昔の児童・生徒に比べて著しく落ちているというものです。

こうなった理由は単純で、授業時間を減らした挙句、「総合」という「児童・生徒の自主性に任せる」などという授業を導入した結果、勉強する時間が減ってしまったからです。

これはそういう制度を作った大人が悪いのであり、児童・生徒に責任はありません。

事実、家庭教師業にはじめて携わった25年ほど前のことを考えてみても、生徒さんの「できなさ」の度合いがここ数年甚だしいものになっている印象を受けます。

仄聞するところでは、こうしたことを反映してか、この「ゆとり教育」という制度を作った当の文部官僚の子女が、公立学校に入らず、名門私立中学・高校の受験にいそしむ例がかなりあるといいます。

文部官僚の子女がどこに入ろうと、それはあくまで選択の自由でしょう。

が、他人の息子・娘をゆとりいっぱいの公立に放り込むのは構わないが、自分の子供にはゆとりに染まらないようにするというのは、厚顔無恥にもほどがあります。

いずれにせよ、「基礎」と「反復」の大切さは今も昔も変わりません。

わたしが「基礎」と「反復」にこだわるのは、ここにあります。

 

実技科目の評定 その1 2013/10/18

今夏、わたしが幹事となり、小・中学校の先生方をお招きして同級会を開きました。

その際、美術でお世話になった恩師と高校入試の話になりました。

そのときおっしゃったのは、「今は公立高校の前期入試で、評価に関する出願の縛りが出ているから、いろいろと気を遣う」ということでした。

「気を遣う???」...どういうことなのでしょうか?

ここで言う「評定」というのは、学期末にもらう5段階評定のことです。

これについて、これまでたびたび生徒さんのご両親から「うちの子の成績が甘いような気がする。

いい成績なのはうれしいんだけれども」と言われたことがあります。

思い当たる節がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「少子化の影響ですか?」ときかれたことがありますが、そうではありません。

理由は10年ほど前から通知表の算定方法が相対評価から絶対評価に変わったからです。

ここで、相対評価というのは各段階の配分率が決まっているということです。

以前は「5→上位7%  4→上位24%  3→中間38%  2→下位24%  1→下位7%」 を目安として評定を付けていました。

ただ1という評価については、不登校であるとか、提出物をきちんと出さないといった事情をある場合を除いては、昔もつかなかったと思います。

(次回に続きます)

実技科目の評定 その2 2013/10/21

(前回の続きです)

前回は通知表における相対評価について述べました。

この相対評価と反対に、絶対評価というのは、このような人数枠がありません。

他人と比べないという評価方法です。この場合、相対評価のように枠は決まっていないので、全員が5ということも理論上はあり得ることになります。

相対評価の時代、1学級を40人とすると、5という評定は2〜3人で、4は10人程度です。

5または4という評価がつくのは、クラスの3分の1です。

これであれば、旧世代(?)の方々にとっては、「なんとなく腑に落ちる」ものではないでしょうか。

一方、いま教えている生徒さんは、社会の先生から「平均点が取れていれば4または5、取れてなければ3以下」と言われたそうです。

現在は絶対評価ですから、どのように評定を付けても、理論上は先生の胸三寸次第となります。とはいえ、一応の基準はあるようです。

ただその基準にしても、相対評価の時代に比して、4の評定が、かなり甘くなっていることが見て取れます。

国数理社英の主要5教科はそれでもまだ基準がしっかり設けられます。

が、実技4教科については、もう完全に藪の中です。

それゆえ、箸にも棒にもかからない場合はどうしようもありませんが、それ以外であれば、当該生徒さんの志望に応じて、もしくは阿吽の呼吸で、評価をつけるということがあるのではないでしょうか。

そのようなことを考えると、前述した恩師のおっしゃったことと整合性が取れます。

(次回に続きます)

実技科目の評定 その3 2013/10/22

(前回の続きです)

前回は、絶対評価について述べました。

ここで、前期試験で評定がどのようになっているか、具体例を挙げます。

例えば、仙台二高の前期出願条件は中2・中3で評定が平均4.8以上、もしくは平均4.3以上+運動で県大会ベスト8以上か平均4.3以上+文化部の活動で東北大会出場です。

運動で県大会ベスト8以上であったり、文化部の活動で東北大会出場というのはかなり限られるでしょう。

ということは、仙台二高の前期出願者のほとんどが平均4.8以上をクリアしているはずです。

この4.8以上というのは、オール5または1科目が4でそれ以外は5という2パターンしかありません。

これを中学2年、3年にわたって取り続けなくてはならないのです。

主要5教科で全部5というのは当然としても、実技4教科が1科目だけ4で、あとは5というのは、数字だけを聞くとかなりハードルが高いです。

これをクリアしている受験生が昨年は257名いるのです。

相対評価で育ったわたしには、オール5もしくは1科目が4で、残りはすべて5というのは神童にしか思えません。

その「神童」がいまや少なく見積もっても257名はいるのです。

絶対評価の数字マジックが見て取れます。

もちろん、仙台二高の場合、「評定平均4.8以上」というのは、「出願できる資格」であるに過ぎず、学力試験はしっかりあります。

この評定における評価も「調査書における点数」として加味される建前にはなっています。

とはいえ、これだけ受験生間の評定が僅差だとすると、ここではほとんど差がつきません。

よって合否の判断は学力試験の結果で決まるといっても過言ではありません。

ちなみに、相対評価時代に育ったわたしは前期試験に出願すらできません。

美術が苦手で、どうしようもなかったわたしにとって、3をもらえた日には、リオのカーニバル以上の欣喜雀躍状態でした(笑)。

いまなら、美術の先生は、4を付けてくださったかも........ということはありえないでしょう。(大笑)

新聞報道より 大学入試改革: センター試験廃止へ その1 2013/10/23

10月22日付の新聞に掲載された「センター試験に替わる新テストの答申」につき、述べます。

標記の報道は、これまで大学入試の基準となってきた、センター試験を廃止するというものです。

そこで、具体的にどのような影響が出てくるのかを、受験生の立場に立って解説します。

答申の要諦は次の2点です。

1.推薦・OA入試はこれまで学校ごとに「基準」がまちまちで、論文・面接だけというのもあった。

今回は一律の「学力を問う基準」を作る。よって「学力」もしっかり問われるようになる。

2.一般入試はほぼこれまでどおりである。

一方で、二次試験がこれまで以上に大切になってくる。

センター試験であった理科・社会の科目間難易度の有利・不利がなくなる可能性があり、その点では「改善」の可能性も。

 

以下、上記につき、詳説します。

 

まず、推薦・OA入試はこれまで大学により、基準がまちまちでした。

現在は論文・面接のみという大学もあります。

また学校の指定校推薦がある際は、学校で一定の成績をとっていれば、ほぼ自動的に入学が可能でした。

しかしこれからは、学力検査を受けることが必須となる可能性があります。

もちろんこの基準で入試を行わないという学校も出てくることでしょう。

が、かなりの学校がこの基準を何らかの形で利用するはずです。

学校側からすると、「独自の判断をする」という謳い文句はいいが、実際のところ、かなり手間がかかっているというのが実情です。

また推薦・OA入試で入学した学生は、一般入試で入学した学生に比べると、学力という点で、どうしても劣っているという傾向にあります。

そのギャップを埋めるためにも、学力試験を学生に課すことで、レベル低下にタガをはめたいという狙いもあるでしょう。

(次回に続きます)

 

新聞報道より 大学入試改革: センター試験廃止へ その2 2013/10/24

(前回の続きです)

第2点目の一般入試については、二次試験がこれまで以上に大切になってきます。

というのも、大学側としては、定員の関係もあり、何らかの形で、70点の人は合格、69点の人は不合格というふうに、点数で合否を示す必要があるからです。

新テストが点数わけをせず、「一定のレベルを示す」ということになれば、二次試験がこれまで以上に重要視されるのは自明の理です。

ここでひとつ改善点となるかもしれないのが、センター試験における理科・社会の科目間難易度をなくすことができるかもしれないということです。

例えば、理科において、物理の平均点が50点のときの60点と、化学の平均点が55点のときの60点とでは、同じ「60点」でも意味合いが違います。

これはわたしが現役の高校生の時に受けた共通一次試験でも同じような問題がありました。

そしてこれまでは、そうした科目間難易度は基本的に考慮されませんでした。

新テストが1点刻みの点数にしないということは、これからはそれが是正されるかもしれません。

「かもしれません」と書いたのは、この科目間調整について、新聞記事は語ってないからです。

せっかく1点刻みにしないことにするのですから、この点についてはぜひ考慮をお願いしたいです。

以下、記事の引用です。

産経新聞 平成25年10月22日記事より引用

>>>政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早稲田大総長)が議論している大学入試改革で、現行の大学入試センター試験を「達成度テスト・発展レベル」として衣替えするとともに、新たに創設される高校在学中の到達度テストを「達成度テスト・基礎レベル」として一体運用していく方向で調整が進められていることが21日、文部科学省関係者への取材で分かった。

今月末に開かれる実行会議で素案が示される。

高校段階の達成度テストは、基礎的な科目から出題される。大学の一般入試には直接利用しないが、成績は推薦入試やアドミッション・オフィス(AO)入試で参考にしてもらう。

一方、センター試験に替わる発展レベルのテストでは、結果を1点刻みの点数で示すのではなく、一定幅の段階評価とし、生徒は複数回受けることができるようにする。その上で、大学ごとの2次試験は面接や論文を重視するよう求めていく。

双方のテストはこれまで、性質の異なる別々のテストとして検討されてきたが、実行会議で一体的な運用が提唱され、同じ組織が運営する方向で調整することとなった。

次回の教育再生実行会議で提言をとりまとめ、来月にも安倍晋三首相に手渡す見通し。

新聞報道より 英語教育、小3へ前倒し 5、6年は正式教科に 文科省が方針 2013/10/25

10月24日付の新聞に掲載された小学校における英語教育の新方針について述べます。

この記事によれば、かかわりが出てくるのが、これから子供をもうけようとするご家庭です。

その骨子は、以下のようなものです。

(現行)小5・小6で週1回 成績とは無関係

(新方針)

成績とは関係のない教科として、小3・小4年で週1〜2回の授業を行う。小5・6年は週3回実施。

小5からは他教科同様に検定教科書を使用し、成績を付ける。

つまり、現在やっている教育を2年早めるというものです。

現在のところ、「方針」ということですが、これが実現すると、学校における英語を取り巻く環境はかなり変わってくるでしょう。

また現在のところ、私立中学の入試では、英語が課されていませんが、今後は課される可能性があります。

以下、記事の引用です。 

産経新聞 平成25年10月24日記事より引用

>>>正式教科でない「外国語活動」として実施している小学校英語の開始時期について文部科学省が現在の小5から小3に前倒しする方針を固めたことが23日、分かった。

3、4年は週1〜2回、5、6年は週3回実施を想定。小5からは教科に格上げし検定教科書の使用や成績評価も導入する。

早い時期から基礎的な英語力を身に付ける機会を設け、国際的に活躍できる人材育成につなげる狙い。今後、教科書の検定基準や評価方法などを検討、中教審の議論を踏まえて学習指導要領の改定に着手。平成32(2020)年までの実施を目指す。

日本語教育優先を求める声や「成績評価が英語嫌いを招く」との意見もあり、教員の指導力向上など実現には課題もある。文科省は他教科の時間数を変えず授業時間を純増させる考えで学校や子どもの負担増に反発もありそうだ。

正式な教科となる5、6年の授業では、基本的な読み書きなど中学校の学習内容を一部取り入れる。主に専門教員が担当するが、担任が指導するケースも。

 

生徒さんにはこう教えています 〜 三平方の定理と平方根 2013/10/28

中学3年の数学において、「平方根」という分野を学びます。

これからの数学の基本となる分野です。

わたしが中学時代、中3のときの最初の授業で、数学の先生が「平方根が出てきて、やっと数学らしくなる」とおっしゃっていたのを記憶しています。

そのときは「???」と思いましたが、今にして考えれば、さもありなんです。

この平方根を教える際、わたしは生徒さんに「どうしてそれが生まれるようになったのか、また今後の数学に必要なのか」ということを、しっかり説明するようにしています。

そしてそうすることで、生徒さんの理解度が増すように努めています。

上述した「説明」はあらまし次のとおりです。

「数学とは、人間が少しでも楽をするようにと生まれた学問です。

数学があるからこそ、建築設計が効率よくできるようになります。

例えば、三角形の3つの辺の長さが分かれば、それぞれの角度の大きさが計算で出てきます。

それを支える論理が、3年生のおしまいのほうで習う三平方の定理です。

この定理では2次方程式というものを必要とします。

2次方程式を解くには、平方根という考え方があると、楽になります。

そのために平方根があります。」

平方根という考え方を取るためのメリットはもちろんこれだけではありませんが、当座、このくらいの説明をしておくと、多くの生徒さんは納得してくれるようです。

今からの時期、中3生は二次関数→三角形の相似→円→三平方の定理と進み、高校入試のメインイベントを迎えます。

いよいよ生徒さんの総合的な数学力が問われるようになってきます。

入試制度における改革疲れ その1 2013/10/29

先ごろ、政府の教育再生実行会議がセンター試験を廃止を予定している旨、新聞報道がありました。

それに対する拙見をたびたびものしてまいりましたが、今日は、さらに突っ込んで書きたいと思います。

世の中は、何かというと、「改革、改革」を口にしています。

この改革が必要であるということはよく分かるのですが、こと入試制度に関する限り、「改革」をすればするほど、悪い方向に向かっています。

入試制度に問題がある→どこかをいじくりまわさないと「改革」にならない→じゃあ、とりあえず、センター試験をやめてみるか、という極めて安易な考えに基づいるような気がしてなりません。

このセンター試験の前身は「共通一次試験」でした。

問題の体裁などはこの共通一次試験を踏襲しています。

そもそもこの共通一次試験が導入されたきっかけは、「大学の序列を緩やかにする」というものでした。

それまで国立大学の入試は、一期校・二期校という区分に分かれ、一期校が偉く、二期校のランクは落ちるというものでした。

そして難問や奇問が多くて高校の授業に支障を来しているということで、基本となる学力を「共通一次試験」で見て、その大学が主として受験生の応用力を見るために独自に課す「二次試験」と併せて、合否を決するというのが趣旨でした。

(次回に続きます)

入試制度における改革疲れ その2 2013/10/30

(前回の続きです)

前回は共通一次試験の概要と背景について述べました。

共通一次試験が導入され、大学の序列は緩やかにはならず、むしろ序列化がますます進み、予備校を潤すだけの結果となりました。

それまでは地方ごとに独自営業をしていた予備校が全国チェーンとなり、地方予備校が淘汰されていったのは共通一次が原因です。

そして今度は、1点刻みのセンター試験をやめて、幅を持ったランク付けにするというのですから、ため息ばかりが出るのはわたしばかりではないでしょう。

それなら、昔のように独自の入試一発でやったほうが、よほどスッキリするのではないでしょうか。

しかしながら、センター試験は昨年57万人が受験しています。

受験料が18,000円(2科目以下の受験生は12,000円)ですから、ざっと見積もって100億の利権がそこに発生します。

文部官僚として、これをそう簡単に手放すはずはなく、若干の手直しを経て残るはずです。

「改革」という言葉に踊らされ、本質を見失わないようにしたいものです。

新聞報道より 教育産業は若年層の離職率が高い 2013/10/31

先日の新聞報道によれば、大卒者の離職率が業種によって差が大きいことが分かりました。

就職後、3年以内に離職する大卒者は28.8%でした。

つまり3人に1人が3年以内に辞めている計算になります。

その中で、塾講師など「教育・学習支援」の業種は48.8%です。

3年以内に実に半数近くが職場を去っています。

以前、わたしの担当の生徒さんから、「塾に通っているが、担当する先生や事務の方がしょっちゅう代わる」という話を何度か聞いたことがありました。

これは統計を裏付ける格好となります。

人が代わるというのは、職場の活性化を保つ意味で、非常に重要です。

企業が定期的に人事異動をするのは、そのためです。

しかし、それも程度によりけりです。

離職率がこのようである理由は、収益の多くが人件費を占めているということにあります。

この産業は、まさしく人それ自身が「商品」ですから、人件費はどうしてもかさんでしまいます。

しかし企業としては収益を上げねばなりません。

となれば、人件費を抑制するため、1人当たりの負担が重くならざるを得なくなります。

「人がしょっちゅう代わる」というのは、サービスを受ける生徒さんやご父兄にしてみれば、心もとないことこの上ありませんが、この業種の宿命であることをご理解いただければと思います。

以下、記事の引用です。

河北新報 平成25年10月30日記事より引用

>>>

「教育」「飲食」で半数に=大卒者の離職率、業種別初公表―厚労省  

厚生労働省は31日、大学を卒業してから3年以内に離職した若者の割合を業種別で初めて公表した。

塾の講師など「教育・学習支援」(離職率48.8%)、「宿泊・飲食」(48.5%)がそれぞれ半数近くを占めた。

半面、「電気・ガス・熱供給・水道」(7.4%)などは離職率が極めて低く、業種により大きなばらつきがあることが浮き彫りとなった。

離職率が高かった業種は、理容など「生活関連サービス・娯楽」(45.0%)、「医療・福祉」(38.6%)、「小売り」(35.8%)などで、これらは全業種平均の離職率(28.8%)を上回っている。

逆に「電気・ガス・熱供給・水道」をはじめ、「製造」(15.6%)、「金融・保険」(18.9%)は平均を下回った。

調査は2009年3月に4年制の大学を卒業し、正社員や契約社員などで就職した若者を対象に実施した。

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